保存食の概念

新鮮なものが一年中当たり前のように手に入る現代、「保存食」と聞くと多くの人が「災害用の非常食」を思い浮かべるほど、日常生活の中での存在感は薄れているようです。
とはいえ、缶詰や瓶詰め、レトルト食品なども保存食ですし、広い意味では冷凍食品も保存食に入ります。

ここでは、もう少し範囲を狭めて、天然の素材を使い自然界のさまざまな現象を利用して手づくりされてきた、昔ながらの保存食について考えてみたいと思います。

●乾物は、面倒?

保存食の中でも、もっとも気軽にいろいろな場面で使えるのが乾物です。昆布や干しワカメをはじめ、海苔、ひじき、干し椎茸、切干し大根、煮干し、鰹節、スルメ、大豆、高野豆腐……名前をあげると切りがないほどありますが、日常的に使いこなしている人は少ないようです。
「水で戻したりするのが、面倒臭い」というのが、その主な理由。でも、昆布や煮干しでダシをとるとして、朝のお味噌汁なら就寝前に、夕食用のお味噌汁なら出勤前に、水を張ったお鍋に入れて放っておくだけです。別に、その間ずっと見張っている必要はありません。水で戻すだけでおいしい天然ダシがとれるのだから、究極のインスタント食品だと思いませんか?

●目の前で削れば、鰹節もご馳走に。

乾物の代表選手といえば鰹節ですが、あなたは袋入りの削り節を使いますか? それとも、自分で削りますか?
削りたての鰹節でとったダシには、袋入りの削り節にはない奥深いコクと豊かな味わいがあります。そして何より、削りたての鰹節なら、冷奴にのせるだけでご馳走になります。ホームパーティーなどで、お客さまの目の前で削ってあげると、パフォーマンス付きのおもてなしになります。「面倒臭い」という思い込みをはずすと、乾物は気軽に楽しめる便利な食品だということに気づきます。

●見えれば、使う。

乾物を買ったものの、使い残しを袋に入れたまま戸棚の奥にしまいこみ、いつの間にか湿気や黴が来てダメにしてしまった経験はありませんか?乾いていてこそ、乾物──。 最後まで使いきるためには、ちょっとしたコツがあります。それは、ともかく、目につきやすく取り出しやすい場所に置くこと。昆布は5mm~2cmの使いやすい大きさにハサミで切って、密閉瓶へ入れ、キッチンの目に付く場所に並べます。見えれば頻繁に使うし、使いこなすことで味の面でも栄養面でも、家庭料理を充実させることができるでしょう。

乾物は、決して面倒なものではありません。常備しておけばいつでも使える、便利な保存食です。乾物を通して、毎日の食事のこと、キッチンの道具のことなどを、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

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