日本の伝統、お漬物

私たち日本人は、古くから漬物というかたちで生の野菜を食べてきました。すでに縄文時代にはニレの皮など野生の植物を塩漬けしたものがあったといわれており、日本は漬物王国なのです。今回は、そんな漬物の魅力をお話しします。

●漬物の味と栄養

漬物とは、野菜などの食品を塩などとともに漬け込み、保存性を高めながら風味をよくしたもの。発酵を伴うものと伴わないもの(浅漬けや梅干し)とがありますが、どちらも塩分の作用によって野菜の細胞から水分が抜け、そこに漬け汁や漬け床の成分が入っていくことで風味豊かに漬け上がります。さらに、発酵タイプの漬物は発酵によって多種多様なビタミンが蓄積されますので、生の野菜にはないビタミンまで、おいしく簡単に摂ることができるというわけです。

●漬物は整腸剤

ダイエット食品にも使われているように、食物繊維は腸の掃除をしてくれます。野菜にはその繊維質が豊富に含まれているので、かさが減ってたくさん食べられる漬物は、とても効率よく栄養が取れます。また、糠漬けなど発酵タイプの漬物は、おなかの調子を整える乳酸菌を腸内に届けてくれます。

●糠みそは、おふくろの味

糠みそをよい状態に保つには「毎日手を入れてよくかき混ぜること」といわれます。糠漬けの主役である乳酸菌と酵母に適度な酸素を供給してバランスのよい増殖を助けるためです。
ここで注目すべきは、女性の手で、実は、女性の身体は乳酸菌の宝庫で、とくに授乳中のお母さんには、フェーカリス菌と呼ばれる乳酸菌がたくさんついていて、赤ちゃんを雑菌から守っているといいます。つまり、元気なお母さんが素手で毎日かき混ぜたものが、最高の糠漬け。人それぞれについたさまざまな乳酸菌が手から補給されて、「おふくろの味」を醸し出していたのですね。

●手軽に作れる漬物

微生物の力をフルに生かした発酵漬けは日本の誇る漬物ですが、毎日の手入れのこともあり、いざ作るとなると、少しハードルが高いのもたしかです。そんなとき手軽に作れるのは、発酵を伴わない浅漬けタイプの漬物がおすすめです。一方、米糠などが手に入らない海外駐在員の奥さんたちは、ビールとパンと塩で漬物を作るそうです。そういえばビールもパンも、酵母の力を借りて作る発酵食品ですね。

漬物はもともと、旬にたくさん採れた野菜や山菜などを長期間食べるために生まれた保存食です。自然に感謝しその恵みを余すところなくいただくために、先人たちが工夫を凝らしたそれは、日本の食文化と呼ぶにふさわしいものでしょう。日本食の知恵を凝縮したようなこの食べものを、もっと日常的に食していきたいですね。

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